翔け! ヒーローたち
―――クラシックに向けて――

ジェネスアリダー
      調教師 八木正喜
      厩務員 大沼秀男
父ヒシアリダー 
母ホクトプロスパー(Dixieland Band)
t鹿毛 3月25日生
  

                                              
鎌倉記念を制し、全日本2歳優駿でも熾烈な叩き合いを演じたジェネスアリダーが休養先の鍋掛牧場から2月28日に帰厩したばかり。「レース後の反動が大きい馬だから当初の予定通り放牧に出した。休養先にはゆるい坂路コースがあってそこで乗り込んでいたせいか、トモにグンと筋肉がついた。割れてるくらいだよ。以前は胸前の発達が目立っていたが、前がさみしく見えるのはそのせいかな。それにこれまでは吹っ飛んでいくような感じだったのが大人しくなってきた。二戦目の大井で出遅れて直線勝負もこなしているし距離は心配していない。ゴトゴトにコズんでしまうので馬の状態を見ながらクラシックを使って、JDDのあとに休養に出すプランになりそう」。普段の調教ではモタモタしていて実戦になるとシャキッとする。無駄な労力を使おうとしないのは名馬の証?
エスプリシーズ
      調教師 武井榮一
     厩務員 久保ひろかず
父 カコイーシーズ
母 スマコバレディ(スマコバクリーク)
鹿毛 4月18日生
武井調教師の元で母スマコバレディはB級までいった活躍馬。祖母ツキノパツシヨンもまた桜花賞に出走している。祖母・母・息子と親子三代にわたって担当してきたのは、久保秀男騎手・勇騎手の弟である、久保ひろかず厩務員。「青森で生まれたが、すぐさま北海道へ運んだ。ところが飼い葉を食べてくれなくてね。体の強い仔ではなかった。厩舎にきた時もまだトモはガタガタで、追い切りをやってもトモを落としたり、終いまったく伸びないこともあった。今はどんどん良くなっている時。胸前の筋肉が柔らかく、飛節の角度や蹄も良い。バランスがいいんだね。とはいってもまだ成長途上。ソエが出たりしてビシッと追ったことがない。京浜盃は勝てなかったが収穫はあった。砂をかぶる経験ができたし、先行しなくてもレースできることが判った。レース中遊ぶくらいのタイプの方が距離は持つからね。雲取賞を使ってクラシックに乗るつもり」
トキノアジュディ
     調教師 長谷川蓮太郎
     厩務員 坂下光弘
父 アジュディケーティング
母 トウショウホワイト(トウショウボーイ)
鹿毛 4月30日
軽快な逃げで見事ニューイヤーCを制した快速馬。「目の腫れがなかなかひかずに、3日間も運動を休んだよ」目の腫れとは何事かと思えば、突然立ち上がって、作業場の屋根に頭をぶつけたのだという。ぶつかった衝撃で、屋根や柱を壊し、修理するはめに。「馬頭さんのコンクリートもぶつけて欠けちゃってるよ」馬頭観音までも打ち砕いてしまう気性の持ち主。馬房には前後左右にゴム板が打ち付けられた。「気性をよく知ってるやつしか近づけないね。運動の時もみんな道をあけてくれるよ」泣く子も黙る気性かと思えば、競馬場では大人しい馬に変身する。「装鞍所では借りてきた猫みたいだよ」前走のブルーバードカップは、馬運車を降りてから、ずっと下を気にしていた。「一瞬伸びかかったんだけどね。勝てなかったのは残念だけど、無事に戻ってきたから良しとしなきゃ。レースは上手だし、ただの逃げ馬じゃないよ。クラシックは賞金も足りているし、逃げなくてもいい競馬がしたいね。ダービーを目指してるよ!」
タヤスエイト
     調教師 八木 仁
     厩務員 道添:健一
父 タヤスツヨシ
母 タヤスロクサーヌ(ラシアンルーブル)
黒鹿毛 5月28日生
安定した成績でキャリアを積む超堅実派。ゴールデンステッキ賞では酒井騎手に騎乗資格がなかったことでテン乗りの佐藤隆騎手が騎乗し、仕掛け気味にいったこともあって向正面で折り合いを欠く課題もつきまとった。前走の京浜盃では周りに他馬がいたこともあって物見することもなく、終いの脚伸びて瞬発力を発揮。成長力を見せた。「中央を使うプランもあったが、どうしてもこっちのクラシックへ挑戦したかった。精神面はまだ幼いし、馬体面でもまだトモがさみしくもっと張りがほしい感じ。母の父ラシアンルーブルの線の細さが出ているようだ。キングセイバーに比べて体高もあるしトモの幅が狭いから脚が長く見えるよね」。羽田盃に直行する予定だ。
キングセイバー
      調教師 八木 仁
     厩務員 大重武志
父 キンググローリアス
母 エレガントタイクーン(Last Tycoon)
青鹿毛 5月11日生
「牧場で初めて見た時は、まだやんちゃで甘えん坊だったけど、いい馬だなあと思った。その後も、見に行くと日に日に良くなっていった。5月生まれだから使い出しをゆっくりしようと、早くレースに使いたい気持ちを抑えて最後の方の認定レースでデビューさせた。まずは認定レースを勝たせるのが、俺の使命だと思ってたよ。3戦目のマイルの若駒特別は、3角で既に手応えがなく、諦めかけたけど
前の馬がいっぱいいっぱいじゃないのに差しきったんだ。前走のうぐいす特別も
2番手からの競馬で、ゴール直前にステッキをいれたらボーンと伸びたんだ。自在性が出てきたのがたのもしいね。馬体はまだ子供だけど勝負根性があるし、精神面は強いもの持っている。まだ八分程度で無理できないが、完成したらもっと楽しめるよ」。雲取賞から羽田盃へ向かう予定。
インディアンツー
     調教師 八木正喜
     厩務員 手嶋竜一
父 シアトルダンサーU
母 メイショウデザート(エブロス)
鹿毛 3月22日生
北海道から重賞ウイナーであるインディアンツーがやってきた。1月の下旬に放牧先の佐賀から八木正喜厩舎に入厩し、もっか15−15を一本やったところ。「北海道時代の成績を見ると距離延びてから苦戦しているんだが、跳びのきれいな馬だし、力で走るタイプではないようだから、こっちのクラシックにこだわらず中央の芝を使ってみたいと思っている。予定としては4月初めに調教試験を受けて、そのあと芝の短いところに丁度いいレースがあれば挑戦してみようと思う。調教でも掛かるような面もなく、おとなしくてホント手の掛からない馬だよ。ただ、最近少しカイバ食いが落ちているのが気になるね」
(2002/3月号)
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