私が川崎競馬組合に副管理者として着任しましたのがちょうど1年前の平成13年4月。他の公営競技や地方競馬と同じように川崎競馬の置かれた状況は大変厳しく、身が引き締まる想いで着任いたしました。
レジャーの多様化や景気の低迷で明るい材料は少なく、全国的に見ても前年対比で売り上げが落ちたとか、競馬場を閉じるというような話まで聞こえてきたときには対岸の火事とは思えないことですが、ただ、それを川崎に映して暗いムードになっていても仕方ありません。さて、どうするんだということになる訳ですが、とにかくやるしかない。ファンに喜んでいただける番組づくり、足を運んでもらえるような魅力的な競馬場にするにはどうしたらよいか。振興策を図って、いかに経営改善していくかという観点でしかありませんでしたから、その中でまずしたことは6月に経営改善検討会議を立ち上げたことでした。
この世情で大幅な売り上げ増は見込めないなか、ひとつには振興策を図らなければならない。それともうひとつの視点がコストの縮減であり、いかに減らすかをこうじなければならない。改善すべき点はどこか。そこで、検討会議では川崎競馬に関わる各団体の代表者に集まっていただきました。
3月に最終的なものがまとまって、検討会議でも承認され、平成14年度の予算編成の中で、改善策を具体化することができました。そのハードルは高いものなんですが、痛みを分かち合いながら進めなければなりません。
大きな成果として反映しましたのは、まずは不採算日*1のカットです。平成14年度では土日合わせて8日間を削って、これまでの年間76日開催が68日になりました。このことによって賞典奨励経費*2、従事員雇用費などをそうとう大幅に縮減することができました。本賞金や手当などをダウンするに至っては、今置かれている現状を関係者のみなさんに全てお話しして、「聖域なき見直しをさせてください」とお願いいたしました。
また、昨年度には皆さまの信頼を失うような番組上のチェックミスもございましたので、公正競馬を確保し、事故のないよう検証して反省し、すぐさま体制を強化。再発がないようにチェックマニュアルを作成いたしました。
4月からは大幅な組織改善。今後、職員のプロパー化を図りたいと考えています。
経営改善への取り組みとしての振興策でいいますと不採算日のカットのほか、昨年の7月でムチを置かれた佐々木竹見さんの功績をたたえた事業展開を考えています。4月29日には佐々木竹見ギャラリーをオープンしますし、これは来年の1月以降になると思うんですが、佐々木竹見さんを記念したレースを予定しています。全国からジョッキーが集うかたちの騎手交流になるでしょう。
それから、今回より川崎でも三連勝の新種馬券の発売があります。すでに発売している浦和、大井を見ても三連単の発売レースについては売り上げ増しているということで、その効果には大きな期待を寄せています。三連勝馬券導入に伴って、これまでの端末をすべて南関東4場共通のものに入れ替えましたので、これまでより早く対応でき、2機に1窓口も設けていますのでわかりやすく、喜んでいただけると思います。
広域場外も拡大してまいります。すでに依頼場外*3のお願いをしておりますし、受託場外*4と合わせ、どちらも昨年に比べて増えることになると思います。
そのほかファンサービスについてですが、今回よりコインゲートを導入します。入場ゲートに直接硬貨を入れて入場できるようになります。施設面やスタンドも含めた若いファンを惹きつける競馬場、特に女性がより興味を持ってくれるような番組づくりを心がけたいものです。これはあくまで案ですが、川崎は全国でも牝馬のレースに力を入れてきた歴史がありますから、そこに女性騎手を絡めた何かが実施できたらというプランもあります。またスパーキングナイターでは美しく輝くイルミネーションオブジェ「光の馬」をシンボルとして設置します。平成14年度の川崎競馬が皆さまによりいっそう楽しんでいただけますよう魅力的な番組づくり、ファンサービスに取り組んでまいりますので今まで以上の多くの方のご来場をお待ちしております。
*1不採算日 平均して売り上げが見込めないとされている日
*2賞典奨励経費 本賞金や出走手当などの競走にかかわる経費
*3依頼場外 他場で川崎の勝ち馬投票券を発売する場外
*4受託場外 川崎で他場の勝ち馬投票券を発売する場外 |
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