河津裕昭厩舎開業
  
6月18日東京プリンセス賞アンジュが調教師としての初出走。積極的に海外遠征に挑むなど華のあるジョッキー時代同様、華やかなスタートを切った河津裕昭調教師。「結果はともかく、クラシックに初出走できた自分はラッキー」だという。道悪で追い込むも届かず9着。中央挑戦を含めて使い詰めだったアンジュはこのあと山梨の牧場に休養に出される。
 昨秋に調教師免許に合格してからは、美浦の根本厩舎で調教方法や飼料関係など勉強、研究する機会を得た。北海道にも足げく通い若馬達を見に行ったりと開業に向けて独自の馬作りのための時間を費やしてきた。
 「守りに徹していては勝つことができない。攻めの精神も必要」とキッパリ。さっそく学んできたこと、さらには今は亡き祖父・晴一調教師、父・政明調教師から受け継いだ血と、父からうるさいくらいに叩き込まれた馬に対する考え方を裏付けとして張り切る。
 河津厩舎では早くも独自性を出してる。新しい飼料を配合、「馬は本来、集団生活をしていた」という考え方からの若馬には集団調教をして精神面を強くしていく。しかし調教メニューは終始軽め。これは馬の疲労を考慮してのもの。さらにコレは企業秘密としながらも「洗い場に長く居させることは疲労につながる」というヒントをくれた。
 「単に速い、勝つためだけの馬ではなく、精神的にも肉体的にも強い馬を作って行きたい」と馬づくりを長いスパンで見ている。
 現在河津厩舎に入厩しているのは2歳馬2頭を含む5頭。2歳馬で期待してるのは 父ペンタイヤ、母の父がマルゼンスキーという良血馬のコスモウィルビウス。だがここまで馬を甘く作っていたため、正直、能力試験の時はパッとしなかった。なにせこの時に初めてムチを入れたぐらいだから。だがこれからは攻めの調教でいく予定でかなり変化が期待できそう。
 調教時にはそれぞれの脚にプロテクターをつけ、調教後には筋肉が硬くならないよう河津厩舎特製のシップで血行を良くするなど、ケアにはかなり神経を使ってる様子がうかがえた。
「勝負は水もの。結果は後からついてくる。もちろんこれからは良い馬に出会い、大きいレースも勝っていきたい。目標は川崎だけじゃない。もちろん中央、そして海外までも視野に入っている。
最近は親父がよく言っていた事を思い出し、少しでも近づいていければと思う」という36歳だ。“勝負は水もの。結果は後からついてくる”三代目はそう最後に繰り返した。
(2002/7−@月号)
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