気になるセン馬や可愛い栗毛のいる原三男厩舎を訪ねてみたい、そう思っていた矢先、「2歳が入ってきたから見においで」と原調教師からお声がかかった。
現在入厩中の2歳は「すごく良いよ」と絶賛するハンセル産駒の牝馬、日本にただ1頭のゴールドレッド産駒の牡馬、そして原師が『俺の愛馬』と呼ぶツガルレディーの牝馬の3頭。ツガルレディーは94年のクイーン賞で3着に健闘、繁殖にあがった後は走る子供を堅実に産出している。また水沢で4連勝中のトニージェントは半弟にあたる。可愛くて仕方が無い様子で、馬房からツガルレディーの仔を
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ツガルレディーの仔 |
出して自ら手入れし、蹄油を塗っている。なるほど誰かが言っていた「原先生ほど厩にいる調教師はいない」との言葉通り、まるでスタッフの1人のように作業に勤しんでいる。
あと2年で20周年記念
北海道静内町出身の原師は騎手学校の19期生。森下騎手や的場文騎手よりも半年早い昭和48年春デビューの騎手だった。減量の辛さから25歳で引退、28歳で調教師試験を受け29歳で調教師に。アラブ全盛期だった当時、のちに種馬となったバラセイユなどを輩出した海藤厩舎を引き継ぐ形での開業であった。「当時は今みたいじゃなかったから、ほら、師弟関係なんかも厳しかったよ。海藤先生は温和な性格だったけど、仕事中は怖かったね。」
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原厩舎の全景 |
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そういう経験からか厩舎での原師は終始優しい口調でスタッフに交じって作業をこなしている。大きい声を出したり偉そうな態度とは無縁である。
原師のモットーは「力まず、無理をさせず、馬の状態に応じた調教を」なるほど、師が「思い入れのある1頭」に挙げてくれたサンビースター(牝7)が未だ現役で活躍中なのはこのあたりに秘訣があるようだ。20周年を前にこれからの目標は「2歳の認定レースに多く勝つこと」最近の傾向として他場で活躍する馬を見出して転厩、というパターンについては「やっぱりセリ場で見て2歳から仕上げていく喜びってあると思うんだよね」前述の3頭のデビューが待ち遠しい。
個性的な馬たち
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スギノワンダー |
原厩舎といえばセン馬、牝馬、栗毛馬、そして芦毛馬。「単なる偶然」とのことだが血統面でもマニアックなファンが多い。カイテキワカオ(セン4)は栗毛のワカオライデン産駒、エスエスハッピー(牡5)はメジロパーマーの仔、綺麗な芦毛馬・カイテキコーボウ(牡5)はマチカネタンホイザの仔、そして転厩後早くも1勝を挙げたタイキファルガー(牡7)は日本導入前のマイニング産駒のマル外で栗毛、サンビースター(牝7)も栗毛、ちなみに生産者の原則夫氏は実の兄にあたる。昨年2歳時から活躍してきたスギノワンダーも帰厩していた。気性の激しさはまなざしで一目瞭然である。「でもレースになったら集中力があるね」ローレル賞以来レースから遠ざかっているが復帰戦は近いということで今後も期待の1頭である。
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