2月4日の川崎競馬場はエスプリシーズの川崎記念完勝に沸き上がった。2:12:8のタイムは2001年にレギュラーメンバーが記録した従来のレコードをコンマ1秒詰める破格なものだった。
 やり合う前を見ながら道中3番手をキープ。そこから早め抜け出すと、迫る武豊鞍上のスターキングマン(2着)を4馬身振りきってゴールイン。念願だった交流重賞初制覇となった。3着にはリージェントブラフ。4角ではディエスサンダーが馬体に故障を発生し競走を中止した。
<成績はコチラ>

エスプリシーズ


牡5歳 鹿毛
1999年4月18日生
調教師 武井榮一
馬主 依田泰雄
騎手 森下 博
厩務員 久保ひろかず
生産者 青森・大橋牧場


**血統**
父★カコイーシーズ
母★スマコバレディ
(母父スマコバクリーク)

 父のカコイーシーズはAlydarに繋がるターフ・クラシック招待(USA-G1)、キング・エドワードVIISの勝ち馬で14戦4勝。中〜長距離で活躍したが、産駒には短距離適性も見られる。 母のスマコバレディは武井厩舎所属馬で30戦8勝したスピード馬。牝馬としては大柄で雨馬場を得意でB1に格付された。エスプリシーズはその一番仔になるが、弟のカネショウアルプスを出産したあと脳に膿がたまる病気にかかり死亡した。
 祖母のツキノパッションもまた武井師の元で17戦3勝。能力試験で一番時計を出したほどの快速タイプだった。


*馬名の由来*

馬主冠のエスプリ
+父の名から

*ニックネーム*

「シーズ」

**好物**

以前はキャベツだったが今はレタス

         **クセ**

       右前脚を使った前がき

      **チャームポイント**

         ハート形の流星


**戦績**

 22戦10勝。 2歳11月のデビュー戦を53秒台で駆け抜け一躍脚光を浴びる。3連勝のあと重賞初挑戦のニューイヤーカップで3着し京浜盃(2着)、雲取賞(1着)からクラシックロードに駒を進める。しかしながら羽田盃(4着)、東京ダービー(9着)とゲート入りに手間取り敗退を喫する。葛藤の春のあとはJDDを回避して放牧へ。この休養が功を奏しついに東京湾カップでは待望の初重賞を手にする。船橋記念で2つ目のタイトル。群馬記念(3着)への遠征も試みるがその後のかしわ記念(14着)では敗因不明の惨敗。東京盃(3着)、JBCスプリント(5着)では短距離資質を見いだされた。グランドマイラーズ、報知オールスターC川崎記念ともっか重賞三連覇と破竹の勢いで迎えた2004春。次なるビッグタイトに狙いをつける。


第53回川崎記念制覇


エスプリシーズ 大解剖 !
Esprit thes

**久保ひろかず厩務員**

「一番最初に跨った時に背中の感触に好感を持っていました。でも最初は併せ馬についていくことができなくて。それならと自分で乗って確かめながら単走で、それも軽めを長く乗るように心掛けて仕上げてきました。今ではそれが良かったんだと周りも認めてくれるようになってきましたね。早い時期からソエを気にしていましたが、ダービーのころはだいぶ痛かったんでしょうね。今回も2着には来るだろう(笑)という自信はありました。だから勝っても意外と冷静でしたね」。高知県出身の久保厩務員。兄は久保秀男調教師、久保勇騎手。

**武井榮一調教師**

 「馬の調子、追い切りの動きも良かったのでもしかしたらいけるかな?と思った。地元川崎で勝てて本当に嬉しい!スタートも上手になったので好位につけていい流れに乗れたのが良かった。 直線では早くゴールがこないかなと思って見ていましたよ(笑)。 本当にこの馬は強くなりました。 次走については馬の疲れもあるのでまだ考えていません。中央遠征にも行きたいがゲートに多少難があるのでちょっと難しかなぁ」というのが川崎記念優勝時の武井師のコメント。
 「レースから4、5日休んだだけでもう乗っている。今のところマイルグランプリを考えているが状態を見ながら。目標だった地元川崎での統一GTを勝って、次なる照準は大井での統一GT。右回りが苦手っていうワケじゃないんだが、クラシックの頃ちょうどソエが痛くて嫌な想いをしているからね。あの時は道中も手前を替えさえしなかった。母系からスピードを受け継いでいるし、折り合いも付くのでどんな距離でも自分のレースができる馬。ゲートの中はまだ多少うるさいがそれでも上手くなってきているし、森下くんからは、千二〜二千というだけじゃなく2600でも3000でもこの馬ならこなせると言われたよ(笑)。休みを挟むたびに強くなっているし、もっと良くなります」。本格化の5歳春を迎えようとしている。

**森下博騎手**

 「今日は道中自分としてはそんなに早いペースだと感じなかったのでレコードがでるとは思わなかった。前走、前々走と勝っていたので今日も少しは期待していた。道中は充分手応えがあったので3角から上がっていっても押し切れると思った。でもゴール前は自分の気持ちが一杯だった。 初G1制覇についてG1制覇はジョッキー皆の夢だから、ダービーなども嬉しいがまた違った嬉しさです。この馬なら一度芝を走らせてみたいという想いがある。でも中央を使うにはゲートなどまだ課題を克服していかないと」。

(2004/2月号)
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