ブルーロバリー8馬身ひとり旅で戴冠V
5月21日 第18回東京プリンセス賞<大井>
好枠を利して先手を取ると絶妙なマイペースに持ち込んだ。グングン引き離す直線。今野騎手が振り向いて後続を確認する。しかしその差は広がる一方だった―――
 「枠にも恵まれたし、スタートも良かった。行けるようなら行ってほしいと指示通りに乗ってくれた。向正面では引っ掛かっていたし、もっとテンに飛ばしていれば時計だってもっと詰まったはずだよ。それにしても直線離し過ぎ(笑)」と足立勝久調教師の笑いは止まらない。今年に入って、イシノファミリー(報知グランプリカップ)、モエレトレジャー(しらさぎ賞)、ブルーローレンス(クラウンカップ)と4つ目の重賞制覇。東京プリンセス賞は昨年のディーエスメイドンに続く二年連続戴冠となった。
 「ゴールドファミリー、エビスセンプーと三頭一緒に入厩してきたんだが、ロバリーが一番先に勝つと思ったら初勝利まで時間が掛かった。新馬戦では出遅れてしまったし。それでも強い相手と当たってきたことがこうしてチャンスを生んだと思う。小柄な馬ながら使うたびに馬体も増えてきている。年が変わる頃になってグンと成長した。東京2歳牝馬あたりから引っ掛かるようになってきた。ロバリーの場合は気合い良く引っ掛かるくらいの方がいいようだ。桜花賞の時は追い切り前に熱発があったんだが、追い切りでの動きがいいんで出走した。掛かるところもなく気合いのりもなかったねぇ。オークスには間隔ないが、馬主さんの希望もあるし、エサ食い問題なさそうなので挑戦する。そしてその後には少し休養させてあげたいと考えている」。6月9日関東オークスの夢舞台に挑む。
◆ブルーロバリー◆
父カコイーシーズ
  母スプレッドブレイヴ
牝3歳 栗毛
2001年4月1日生
調教師●足立勝久
馬主●黛 大介
騎手●今野忠成
 厩務員●富士木和男 
生産者●橋本牧場
第18回 東京プリンセス賞(サラブレッド系 3歳 定量)
2004年5月21日大 井10競走 ダート1800(外コース・右)天候:晴 馬場:重



馬名 所属 性齢 負担
重量
騎手(所属) 調教師 馬体重 タイム 着差 上り
3F

1 1 2 ブルーロバリー 川崎 牝 3 54.0 今野忠(川崎)
足立勝 434 -3 1:55:5   38.7 1
2 8 16 アイチャンルック 大井 牝 3 54.0 内田博(大井)
阪本一 427 -7 1:57:0 39.2 4
3 2 4 キャニオンドリーム 大井 牝 3 54.0 鈴木啓(大井)
高岩孝 452 -10 1:57:0 アタマ 39.7 5
4 1 1 ニューサイエンス 大井 牝 3 54.0 桑島孝(船橋)
阪本一 438 8 1:57:4 40.1 14
5 7 14 ゴールドファミリー 川崎 牝 3 54.0 佐藤隆(船橋)
足立勝 450 -8 1:58:0 39.6 12
6 8 15 グリンセレブ 船橋 牝 3 54.0 石崎隆(船橋)
佐藤賢 471 1 1:58:1 クビ 39.4 11
7 4 7 コンサートスター 大井 牝 3 54.0 酒井忍(川崎)
山藤統 477 -6 1:58:2 1/2 40.1 13
8 5 10 カネマサヴィーナス 川崎 牝 3 54.0 左海誠(船橋)
三橋三 459 11 1:58:2 クビ 40.7 2
9 6 11 センノウィン 船橋 牝 3 54.0 佐藤祐(船橋)
佐藤賢 431 -12 1:58:6 40.4 15
10 3 6 グロウス 川崎 牝 3 54.0 的場文(大井)
田島寿 419 11 1:58:7 1/2 41.2 8
11 3 5 ラヴリーズン 川崎 牝 3 54.0 金子正(川崎)
河津裕 458 -4 1:58:8 1/2 40.8 3
12 4 8 クラメガミ 船橋 牝 3 54.0 張田京(船橋)
川勝歩 458 -7 1:59:0 41.4 9
13 6 12 ウエノマルオキャン 大井 牝 3 54.0 鷹見浩(大井)
井上弘 483 0 1:59:0 ハナ 42.2 16
14 5 9 アミュレット 大井 牝 3 54.0 加藤和(浦和)
寺田新 416 0 1:59:9 42.8 7
15 7 13 クラマサライデン 川崎 牝 3 54.0 森下博(川崎)
高月賢 439 9 2:00:3 43.2 6
16 2 3 タカミルーチェ 川崎 牝 3 54.0 山崎誠(川崎)
長谷蓮 430 -7 2:11:7 大差 48.6 10
上り 4F 51.8 3F 38.7
ハロンタイム
12.6- 12.0- 13.1- 12.9- 13.1- 13.1- 13.4- 12.4- 12.9
コーナー通過順
1角 2,12,13,3,(1,9),6,16,4,8,(7,11),5,10,15,14
2角 2,12,13,1,9,4,6,16,8,(7,3),11,5,10,15,14
3角 2,12,(13,9),4,1,6,10,8,16,5,7,11,14,15-3
4角 2,12,4,(13,9),1,10,6,8,16,(7,5),14,11,15-3
「時計が遅かったね〜」と開口一番舌を出した今野忠成騎手。「ペースが遅いのはわかっていたし、直線ステッキを入れた時の反応の良さは抜群だった」と馬なりで突き抜けると、後続には8馬身差があった。ゴール板を過ぎてニッコリVサイン。テレビカメラを意識して待機する関係者に喜びをアピール。そのくらい余裕があった。
「デビュー当時から能力の高さを期待されていた馬。最初は気の良さだけで走ってたが、だんだん馬に芯が入ってきた感じ。不本意だっ  た桜花賞とは違って、デキの良さからもレース前から自身がありました」とクラシック戴冠の喜びを語った。一昨年暮以来の重賞制覇となった。
富士木和男厩務員が近づいただけでクウィーンと甘えていななくブ   ルーロバリー。お父さんに甘える愛娘といった感じ。「桜花賞が 体調不良で本当じゃなかったから巻き返しの一戦だと思っていた。キチンと馬がデキていてもどこに魔物がいるかわからん。あそこまで楽に勝てるとは思ってもいなかったよ。体つきといい皮膚の柔らかさといい川崎じゃあナンバー1になれると思っていたらビービーバーニングが現れた。これでやっと一番になれた」と喜びもひとしお。「エサ食 いが細いこと。それだけなんだこの馬は。高カロリーな牧草を与えたり、小まめに分けてカイバをあげたり工夫してる。この馬を怒ったことないよ。甘えん坊で、さびしがり屋」とかわいくて仕方がない様子。
2004年6月号
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