テーブル・ラベンダー左上・白 テーブル・ラベンダー右上・白
フジエスミリオーネが川崎にやってきた♪

北関東三冠馬フジエスミリオーネが川崎にやってきたのは4月1日。宇都宮時代に所属していた仁岸進調教師と知り合いだったという関係で村田六郎厩舎に移籍が決まった。
 厩舎に来てすぐはうるさかったと言うが、一週間もするとすぐに環境に慣れたという。早速調教で速い時計を出したフジエスミリオーネだが、左回りのコーナリングもすぐに順応したんだとか。
「さすがむこうで成績あげてきただけあっていい馬だよ。いい顔しているし頭が良くて理解力がある。呑み込みも早い」と村田調教師の声のトーンも上がる。
21日の調教試験を受ける予定だが、その一追いで調子が上がって気合が出てきたらしい。「本当に賢い馬だから、競馬が近づいていることがわかるみたい」と。さすがは三冠馬である。自分の仕事をきっちりわかっているのだろうか。
 普段は小向で調教をしているため、川崎競馬場に行くのは調教試験がはじめてとなる。「調教試験はスクーリングも兼ねる感じで。むこうで(宇都宮競馬廃止後)も調教はしていたし、レース間隔もちょうどいい。こっちも楽しみにしている。結果が出せるようにがんばるよ。」と終始村田調教師の顔は晴れやかだった。21日の調教試験に合格すれば29日のレースを使う予定。鞍上は金子騎手に決まった。
 そのフジエスミリオーネと一緒に宇都宮からやってきたのが、宇都宮時代からの担当厩務員である仁岸尚昌厩務員だ。仁岸厩務員の父は管理していた仁岸進調教師。尚昌厩務員はフジエスミリオーネが道営から来た時から担当している。この馬の印象を聞くと「とにかく最初はうるさかった。今は成長した分まだおとなしくなったけど。頭が良すぎて世話しているときにねらって蹴ってきたりする」そんな話を聞いてしまったら、ケガもたえないのでは?と思いきや、「クセとかはわかっているから、ケガはしないよ」フジエスミリオーネのことを一番理解している人の言葉だ。そしてこんなエピソードを聞かせてくれた。昨年のJDD。大井競馬場では、待機馬房の近くをモノレールが通るのだが、それにビックリして待機馬房に穴をあけてしまったらしい。やはり大物。やることが派手である(笑)。そんなヤンチャなエピソードを持っているフジエスミリオーネだが、好きな食べ物はリンゴとバナナだそう。尚昌厩務員いわく、「にんじんより好きみたい(笑)」
 宇都宮最後のレースとなった『とちぎ大賞典』はフジエスミリオーネの強さを表すレースだった。かなりタテ長の展開になって、2週目の3コーナーではまだ7、8番手。正直“そんなところにいて間に合うの!?”という位置。4コーナーから直線に向いてグングン加速して最後は2着のヤマニンバリーをねじ伏せた。この瞬間、トリハダがたつほど興奮した。まさに3冠馬の意地。尚昌厩務員はこのレースについて「勝てると思ってた。だから勝つ勝たないより、どんなレースをするか、そっちのほうが気になった。」まさに最後を飾るにはふさわしいレースだったんではないだろうか。勝てると思っていても尚昌厩務員は相当プレッシャーを感じていたそうだ。「でも、そういうの平気なんですよ。いくらプレッシャーを感じても、こっちは負けるためにレースをするわけじゃない。勝てるレースをするだけだから。」それだけ愛馬を信じているということなのだろうか。これから大舞台に出ることがあっても、このコンビならプレッシャーも吹き飛ばすだけの“信頼関係”があるように思えた。
 最後に、宇都宮時代からのフジエスミリオーネのファン、そしてこれから川崎所属馬としてフジエスミリオーネを観て行くファンに「まだ馬場やレースのペースなど、やってみないとわからない。とりあえず慣れるまではあたたかく見守っててください」とメッセージ。この言葉の中には何十倍もの期待が含まれているのではないだろうか
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