レコードに名を残す馬たち
第一章〜タケトシヒカリ<平成4年9月4日 900m 53秒2>
2001/9月号より
 1994年9月4日。第1レースの900b新馬戦で圧倒的一番人気を集めたタケトシヒカリ。今は亡き青野四郎調教師が「とにかくスピードがあるね。佐々木(竹見)もこの馬はかなり楽しめそうだと言っている」と寄せる期待に応えるようにダッシュよく飛び出すと鮮やかに逃げ切った。53秒2というレコードタイム。ロジータの母メロウマダングがもっていた記録を9年ぶりに更新した。
 父ワカオライデン譲りの栗色のたてがみをもち、母アンバーギャルからは快速馬の遺伝子を伝えられた。1990年5月21日鵡川のビッグジャパンファームの生産馬だった。
 「順調に馬を仕上げていくってことがしみじみ難しいと思ったよ」と当時のことを振り返って鞍上を担った佐々木竹見元騎手が言う。 「馬主の武田行夫さんにとっては初めての持ち馬だったんだ。自分の後援会の人で、いっしょに牧場に行ったときにひと目で気に入ったらしく、帰りの飛行機の中であの馬がほしいと言い出してね」
 初めての持ち馬がレコードに名を残すとはオーナー冥利に尽きるものだったろう。ラッキーな馬主もいたものである。
 「気性がうるさくて調教でも引っかかって手こずったけど、とにかくスピードがあった。でもスピードの代償は大きかったね。軽く種子骨を骨折して放牧に出したが、戻ってきてからがさっぱりだった。無事だったらもっと成績を残せたはずだよ」 通算成績6戦2勝。
 
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