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華やかな舞台の裏で
‥*‥‥*‥‥*‥酒井忍騎手の愛馬心に触れた2003年夏‥*‥‥*‥‥*‥
 第32回戸塚記念はティーケーツヨシの鮮やかな差しきり勝ちで幕を閉じました。関係者をはじめスタッフの皆さん、本当におめでとうございました。
 そして、川崎競馬倶楽部サイトをご覧の皆さん始めまして! 本原稿には現せなかった競馬場や厩舎での出来事、見たこと感じたことを綴っていきたいと思います。
 第一回は戸塚記念と、そのレース後に私が感動した出来事を。まずはレースを振り返ってみましょう。
 トライアンフトーチが逃げ、ややスローペースの淡々とした流れ。2番手チョウサンタイガー、3番手にスギノワンダー、人気のステルステクニックは5,6番手をキープ。イシノファミリーは後方からという展開でした。トライアンフトーチ先頭のまま最終コーナーをまわり直線へ。2番手に進出してきたスギノワンダーが捕らえ先頭に立つかと思った瞬間、さらに外からやって来たティーケーツヨシが差しきったところがゴールでした。
 レースを終えて引き上げてくるジョッキー達。その表情も様々ですが、嬉しそうに満面の笑みはティーケーツヨシの野崎ジョッキー。その横を「一瞬、勝ったかと思ったのになぁ」と悔しそうに首を傾げる今野ジョッキー。検量室前は「おめでとう!」、「おめでとう!」の嵐です。近くにいた私まで、なんだかドキドキして充分感動を味わうことができました。

 そんな状況のなか、私の前をチョウサンタイガーに騎乗し4着だった酒井忍騎手が横切りました。そうだ! そういえばティーケーツヨシの前走(黒潮盃)は酒井ジョッキーが騎乗して、内ラチ沿いをスゴイ脚で突っ込んで3着だったんだよな‥前走自分が乗った馬が勝ってしまうのはどんな気持ちなんだろ? やっぱりちょっとくやしいよなぁ‥なんて、勝手に想像する私。
 と、その時です。口取り写真撮影の準備をするティーケーツヨシのところに酒井ジョッキーが駆け寄りました。素早く鞍付けを手伝い、ツヨシの顔をなでながら笑顔で祝福しています。
 私は余計な心配をしていたみたいですね〜。あまりにもスマートで、爽やかなその態度に感動を新たなものにしたのでした。

 後日、八木仁調教師にお会いする機会があったので、この出来事について触れると、先生はこう話されました。
 「忍とはちゃんと話し合ってチョウサンタイガーの騎乗を決めたけど、正直ティーケーツヨシが勝った時は忍のコトが気になった。でも、レース後、笑顔で鞍付けを手伝っている姿を見て安心したよ」、そして「そうしたいと思っても、なかなか誰にでもできるコトじゃないからねぇ」と感心することしきり。
 そうですよね、確かに先生のおっしゃる通りです。
 こうしたコトが調教師との信頼関係をまた深めていくのでしょう。酒井騎手の愛馬心と人柄に触れ、これから更なる活躍を期待したいと思います。
  
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