川崎競馬厩舎訪問 〜小向トレセンにようこそ〜 2016/8 平田正一厩舎


◇この記事は川崎競馬馬主協会ニュース 2016年8月号に掲載されたものです◇



平田正一厩舎は昨年7月の開業からちょうど1年。
2015年は初勝利時の1勝に留まったが、今年はすでに7勝(7月25日現在)。 馬房数も当初の10馬房から現在は20馬房へと増やしている。
「今年の目標は最低15勝ですからここからピッチを上げなければいけませんね」と物足りない様子。 「すぐに結果を出すことを求められる時代。高月先生からも勝ちにこだわる強い姿勢を学んできましたのでその気持ちを受け継いでいきたいですし、 この一年で厩舎のベースがだいぶ固まってきたので成熟度を上げていきたい」と厩舎の方針は『向上心』。
「これでいいと思ってしまったら成長できない。 馬それぞれに能力の差はあったとしてもコンマ1秒でも詰められる努力をしていきたい。それが馬へのリスペクトだと思います」という。

 大阪府出身の38歳。サラリーマン家庭で育ち、中学の時にテレビで競馬番組を見て、馬に興味を持つようになった。
トウカイテイオーやナリタブライアンが走っていた頃のことだ。
コンピューターが普及し始めた時代で、大学では経営情報学部に進んだが、馬への想いは冷めず、大学3年の春休みにカネツ牧場で2ヶ月間アルバイト。
「馬の世界で生きたい。 もうこれしかないと思った」と卒業すると牧場に就職。厩務員を捜していた田島寿一調教師との出会いで川崎にやって来た。
田島厩舎ではヴィクトリーパールでローレル賞勝ち。 手綱を取っていたのは調教師として同時期に開業した佐藤博紀騎手というから浅からぬ縁である。
「同期のヒロとはライバルではありますが、相談しあったり、厩舎合同で飼料などの勉強会を開いています。 調教師から一方通行に指示をするのではなくて、厩務員にもいっしょに考えながらやってほしい。うちの厩舎は朝の調教終わり、 午後2時頃、夜7時とカイバを3回に分けていますが、腹の中にいつも何がある状態にすると胃酸が出過ぎずに良いんです。胃潰瘍の防止にもなる。 食が細い馬には調教前にもう一回増やして計4回に分けることもありますね。次のカイバは担当者ごとバケツに作って用意しておいて、ストレスがないように全馬ほぼ一斉に与えています。 シンプルな内容から始めて、何十種類もある配合飼料の中から馬に合わせて加えていきます」と結果にこだわるには日々の積み重ねしかない。

田島厩舎から高月厩舎に移って厩務員を計6年、調教師補佐を4年経験。
「リーディングを争っている厩舎で勉強させてもらったことは自分にとっての財産。 基本に忠実でありながら、毎日の調教では一頭一頭丁寧に時間をかける。そして馬の個性に合わせた柔軟な考えで馬づくりしていきたい。最終的には中央に使いにいって重賞を勝てるような馬を育てたいですね」。

「黄色をメインに黒」を平田厩舎のカラーに掲げた。これは高月厩舎の「黒に黄色」を模したもの。
そこには勝ちにこだわる熱いスピリットが込められている。

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