川崎競馬厩舎訪問 〜小向トレセンにようこそ〜 2014/2 栗林信文厩舎


◇この記事は川崎競馬馬主協会ニュース 2014年2月号に掲載されたものです◇



黄色でまとめられた馬具類や厩舎のスタッフジャンバー。背中に大きく書かれた「大好き(ハートマークが入ります)お馬さん」。 小向トレセンのどこにいても栗林厩舎の馬だと一目でわかる。

京都出身の栗林信文調教師。前職はスタントマンという異色の経歴の持ち主。競馬とは無縁の環境で育ち、スタントマンとして太秦の撮影所に通うなか、 馬に乗れればスタントマンとしての幅が広がるかもしれないと乗馬クラブで馬にまたがったのがきっかけだった。 馬を知るほどに楽しくなり、ついには馬に乗ることを仕事にしたいとアルバイトニュースで牧場の募集記事を見つけて働くようになった。
「23歳でスタントマンをあきらめ、馬の世界で生きていくことを決めました。牧場ではケガも多かったけど馬に乗ることが楽しくてたまらなかった。 しかし牧場はレースに出る前の段階までを担う仕事。この先、競馬場でどんなレースをするのか気になるようになり、実際に走らせる側にまわってみたくなった」 と川崎で厩務員になった。  

八木正喜厩舎、池田孝厩舎、山崎尋美厩舎でそれぞれの馬づくりを経験し、2011年6月に4回目の挑戦で晴れて調教師試験に合格。 すると栗林調教師はすぐに荷物をまとめ小向トレセンを飛び出して全国行脚の旅に出た。 「厩務員をしていたので開業するにも預けてくれる馬主さんのアテはまったくありません。調教師としての学びたいこともたくさんあったし、競馬界での繋がりを作りたかった」とまず向かったのはノーザンファーム早来。 ホームページで研修募集の見つけて門を叩いたのだった。
それからは人のツテや紹介を頼りに次々と牧場やトレセンで研修をつづけ、 さらにはフランスで開業する小林智調教師の元に約1ヶ月身を置いた。凱旋門賞に出走したヴィクトワールピサやヒルノダムールの現地受け入れ先となった同厩舎で得たものは大きかった。 帰国後には栗東の角居厩舎で研修と、11月の開業までこれまでとは違った角度から様々な経験を積んだ。
「小向トレセンとは施設も違いますのでそのまま取り入れるというわけにはいきませんが、ハードワークだけではない運動の日を作るなど調教メニューの参考にしています。 馬の走る気をどうやって維持させていくのか。馬をねじ伏せるのではなく、馬に納得させることが大事だと考えています」。  
自分に知識や経験がなければ、それを持っている人に会いに出向き話を聞く。知らないことを武器にしてしまう逆転の発想で厩舎づくりに取り組んでいる。

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