川崎競馬厩舎訪問 〜小向トレセンにようこそ〜 2013/8 山田質厩舎


◇この記事は川崎競馬馬主協会ニュース 2013年8月号に掲載されたものです◇



開業からまもなく1年になる山田質厩舎。
九州男児らしい溌溂とした求心力で若い馬主さんを増やしている注目の厩舎の一つである。
「これまで一口馬主などで競馬を愉しんでいた方が、だんだん物足りなくなって個人で持ちたいと思うようになるらしく、 地方競馬の馬主資格を取って、共有で一頭を7名で持ったり、5名で持ったりしています。サラリーマンの方でも少ない負担で始めることができますからね。 ひょんなきっかけで話が広がって、みんなで持ちましょうという話になりました。一番上で48歳、下が39歳。セリに出掛けたり、 週末には厩舎などで和気藹々と語り合っています」と馬主としてひと味違った楽しみ方を提案。新しい厩舎経営のかたちだと言えるのかもしれない。 今年に入って4名が川崎競馬の馬主協会に新規入会したという。

大分県出身の山田師。実家は戦後まもなく祖父が始めた中津競馬の競馬新聞社で、祖父が「太陽社」、父が「ファン」という予想紙を発行していた。
「いつかは自分が跡を継ぐつもりで、その前に厩務員を経験しておこうと高校卒業と同時に中津競馬に入った。仕事に欲が出てきたところで、 知り合いの馬主さんから川崎で山崎尋美調教師が開業するのでどうかと紹介され、川崎にやってきたのは22歳の時でした。 いずれは帰るつもりが1年半後に中津競馬が廃止になってしまった。山崎先生のところで11年半お世話になりましたが、 新しい画期的なことを取り入れる先生でしたのでその時の教えは今も生きています」と厩務員時代にはウインブローでクラウンCを優勝した。
その後は開業するまで足立勝久厩舎、武井榮一厩舎と移籍したがいずれも川崎を代表するオープン馬の宝庫である。

カイバに対する考え方も培ったことのひとつ。
山田厩舎ではカロリー計算した上で、1回量は少なく3回に分けて、 6〜7時に夜カイバも与えている。早朝から始まる厩舎仕事にとって夜まで作業が続くのはきついだろうが、これでカイバを残す馬はほとんどいないという。
「故障させてしまうのは一番つらいこと。馬が順調であることへの見極めが最優先です」と血気盛んに語っていた。

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